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福島から来た子どもたち - Summer 2015

kids_from_fukushima_summer2015続・福島から来た子どもたち

震災から4年が経ち、子どもたちの様子も変化を見せてきました。震災直後のショックや悲しみから、今度は長期的に続く原発の影響下での生活自体が大きなストレスとなって、子どもたちに、そして子どもを取り巻く家族と社会に重くのしかかっているようでした。私たちはキャンプを迎えるにあたって、多くの時間を費やしました。それはキャンプで何をして遊ぶのか、時間割はどうしようかといったことだけでなく、「キャンプにおいて、一人ひとりが負うべき『責任』とはなにか?」という命題に向かって、ディスカッションによって真実に近づこうと準備を進めました。主に高校生、大学生から構成される若い世代のキャンプリーダーにとって「議論を交わす」ことはとても難しいことでした。しかし私たちは諦めませんでした。何とか子どもたちに希望を与えたい。「僕は保養慣れしてるから、感動しないんだ」春にある子どもから聞いた、そんな言葉はキャンプで聞きたくない。そう心に誓って、ディスカッションを重ねました。
キャンプ当日、キャンプカウンセラーの顔には笑みが浮かんでいました。「これから始まる『キャンプ』という一つの『世界』に、一体どんなことが待っているのだろう」その顔は希望に満ちていました。こうして、福島からやってきた63名の子どもたち、若いキャンプカウンセラーとリーダーたちは、暑い暑い夏の余島でキャンプの世界に入っていきました。大変多くのボランティアスタッフに囲まれ、多くの出会いを喜び、はじけるように遊んでいました。
「リーダー。スタッフになって、また余島に帰ってきてもいい?」
キャンプから帰る前の日、いつもよりゆっくりとした朝がやってきて、まだ起きて間もない自然の中で、インフォメーションセンターの前を掃き掃除していると、子どもたちがやってきて言いました。
「今度はリーダーになってキャンプに参加したいんだ」そう思って余島から巣立っていった子どもたち。しかし、子どもたちは現実を冷静に見つめています。多くの支援者の寄付や努力によって参加できる、もしかしたら一生に一回のキャンプ。その意味をかみしめ、帰って行きました。
このキャンプに携わった全ての人々に感謝を申し上げます。福島からやってきた63名の子どもたちのためにデザインされた至宝のキャンプは、これからも子どもたちの心の中で輝き続けます。そして感動は人の心を動かし、大きなうねりとなって、新たな世界を生み出していくことでしょう。

キャンプディレクター 阪田 晃一(神戸YMCA)

概 要

第5回 I’m a Partner サマーキャンプ2015
日 程:2015年7月26日〜7月30日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:30名(福島の小学4年生〜6年生)
ボランティア数:75名(当日述べ人数)
費 用:3,176,842円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会生活協同組合コープこうべ
兵庫県ユニセフ協会、NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
(公財)日本YMCA同盟、社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

<同時開催>福島の子ども保養プロジェクトinよしま
主 催:コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会、神戸YMCA

キャンプという出会いが生んだもの
子どもたちの手紙

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2年前にキャンプに参加した男の子の弟が参加していました。彼はキャンプが始まって3日経ってから私のところにやってきて、このことを教えてくれました。「だから僕は、お兄ちゃんからキャンプの歌を教わってきたんだ。『われはふくろう』家で毎日歌っているよ」キャンプが終わっても変わらない「喜び」は、子どもたちの心の中で生き続け、そして今また新たな出会いを生んだのです。
最終日の朝、朝ごはんを楽しんでいると、ある女の子が私に手紙をくれました。

“私たちがどれだけ愛されているかわかりました”

みんながキャンプから帰ってその手紙を開けると、この言葉がありました。きっと彼女はこのキャンプで、誰に会っても、誰と遊んでも、その背後に流れている強い愛情を感じていたのだと思います。
キャンプからの帰り道、港から出て新幹線に向かうバスの中で、こんなことがあったそうです。「キャンプでよく歌った歌なのか、どこからともなく歌が始まった。でもその時、ある男の子がこう言った。「歌はやめようよ。また悲しくなってしまうから。」そう言って、今度は皆でわんわん泣きながら、キャンプでの思い出に浸っていたよ。本当に静かで、『しくしく』という音だけが響いていた。本当にいいキャンプだとわかったんだ。私も心から感動したよ。」福島まで子どもたちを連れて帰るボランティアスタッフが教えてくれた、キャンプを象徴するストーリです。

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福島から来た子どもたち – Spring Camp 2015

kids_from_fukushima福島から来た子どもたち

震災から4年が経ち、子どもたちの様子は変わりました。
春の冷たい雨に迎えられた子どもたち。
一人ひとり一生懸命に生きる姿は、雨の中に頼もしく、そして悲しく映りました。
2015年3月、第4回目となる「I’m a Partner スプリングキャンプ2015」が行なわれました。福島からやってきた25名の子どもたちは4泊5日、元気に自然の中で過ごしました。写真は、食堂での子どもたちの笑顔です。とても無邪気で、楽しそうで、幸せそうな子どもたち。豊かな自然と、ゆっくりと流れる時間、そしてとにかく一生懸命なボランティアリーダー。何より、目に見えない多くの支援者の皆様の愛情を受けて、子どもたちは日に日に表情を和らげていきました。
キャンプ最終日、雨が降りました。雨の森を案内すると「福島の雨は汚いからな。」と呟く子どももいました。だんだん強くなる雨が葉を鳴らす音を聞きながら、森に入り、途中、木々を揺らしながら雨水を体いっぱいに浴び、仲間との会話も増え、笑い声とワクワクした気持ちで進みました。森を抜けるころに小ぶりになった雨は、今度は優しく私たちに降り注ぎました。気がつくと、何人かの子どもたちが踊りだしました。硬く閉ざされていた子どもたちの心を、この雨は少しだけ開いてくれたようでした。
私たちの「子どもたちとの約束」は、キャンプを今後も続けていくことです。「今度はリーダーになって、みんなを引っ張る存在となって帰ってきてほしい。」その思いは子どもたちに確実に伝わり、子どもたちを送り出した保護者の皆さんからも、たくさんの感謝の声が届きました。
「いつか子どもたちにも、社会に恩を返す大人に育ってほしい-。」
支援者の皆様、いつもご理解、ご支援をありがとうございます。25名の子どもたちが、未来での再会を願ってこのキャンプを去って行きました。これからも一人でも多くの子どもたちを、そして困っている人々を迎え送り出す。そんなキャンプであり続けたい。雲間からこぼれ落ちる夕陽に、そう思いました。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)

概 要

第4回 I’m a Partner スプリングキャンプ2015
日程:2015年3月31日〜4月4日 4泊5日
於:YMCA余島野外活動センター
招待者数:25名(福島の小学4年生〜6年生)ボランティア数:18名
実施費用:2,277,582
寄付金:2,277,582
公益財団法人木口福祉財団財団100万円助成
協 力:神戸YMCA
主 催:Ladies & Gentlmen よしましよ

「みんなが、それまで口にすることのなかった福島での暮らしや、仮設住宅にいるおじいちゃんとおばあちゃんを早く出してあげたい、と涙ながらに語ってくれるのを聞き、私も涙が溢れてきました。最終日、朝がいつもより早くきて、私も含めみんなすぐに起きました。お別れは本当に早く、涙が止まりませんでした」
-あるカウンセラーの言葉

「子どもに保養キャンプのことを聞いてみると『福島は放射能 がひどいから、安全なところに保養しに行って、みんなでキャンプするんだ』と話してくれて、自分のバックグラウンドを他人に話すのに慣れているといった印象を受けました」
-あるカウンセラーの言葉

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雨の中、カメラを振り返る少女は、もの哀しげな顔をしています。福島で人々は、原発の影響の有無にかかわらず、「影響があるかもしれない」という見えない「ストレス」にさらされています。震災当時小学校1年生だった子どもは5年生になり、小学校に通うすべての期間を原発の影響下で過ごしたことになります。
これから、私たちは何をすべきなのか?この問いに向かって挑み続けます。