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ひとりの子どもとキャンプの世界- Summer Camp 2016

DSC_04192016年夏、第7回目となるパートナーキャンプが開催され、暑い暑い夏の余島に福島の子どもたちがやってきた。「保養慣れ」している子どもたちがいると言われる一方、福島駅に迎えにいくと「今回が初めての保養キャンプです」というお母さんや、兄や姉がお世話なりましたというパートナーキャンプ2世に、早くも出会うことになった。
4年目となるパートナーキャンプは成熟期を迎えている。強力なリーダーシップを発揮し、その若々しさと初々しさで子どもたちの心を癒し、共に成長してきた高校生リーダー。その高校生リーダーを鼓舞し、励まし、自身も度重なる大きなプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、最後は子どもたちに感動を与え、涙の別れを演出する大学生リーダー。そして、人は変われど「福島から余島にやって来た子どもたち」という大きな強い絆で結ばれた子どもたち。みな余島という「キャンプの世界」に着くなり変容し、様々なアクティビティや出会いを通して、帰る頃には立派な「世の指導者」へと変化を遂げる。そこに、経験が醸し出す絶対的な安心感と知恵、冷静さに貫かれた情熱でキャンパーもリーダーも支える支援者が加わり、こうしてパートナーキャンプは本当に「パートナー」を生むキャンプへと成熟を遂げたのである。
7回目のキャンプは、相変わらず素晴らしいものだった。いつにも増して素晴らしかったのは、そこに参加者全員で創り上げた「キャンプの世界」があったからだった。そのきっかけを作ったのは「ひとりの子ども」だった。今回のキャンプには発達障がいの子どもも何人か参加していた。2日目の朝、キャンプの始まりを告げるメッセージを話していたところに、一人の男の子が前の方へフラフラと歩いて来た。私は気にせずに彼を脇に抱えて、頭を撫でながら話を続けた。驚いたことに、それを見つめるカウンセラーは微笑んでいた。そして話を聞いている子どもたちもどこか楽しそうに、ニコニコしながら話に入り込んでいた。私は彼を引き戻そうとせず、微笑んでいるカウンセラーを誇りに思った。同時に、何事もなかったかのようにニコニコと話を聞いている子どもたち、そしてその「キャンプの世界」に感動したのであった。
「私たちはパートナーです」そう宣言して始めたキャンプ。その開始当初を知る人間はほとんどいない。そこにいたのは、その引き継がれた想いが形になったキャンプに参加している新しいリーダーと子どもたちだった。それでも意志は続いていく。「ひとりの子どもとキャンプの世界」が醸し出したその朝の光景は、いつまでも美しく私の心の中に残っている。それはきっと、今も福島で暮らす子どもたちと、ボランティアリーダーや支援者の内で、喜びとなって溢れているのを信じて疑わない。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)

概 要

第7回 I’m a Partnerサマーキャンプ2016
日 程:2016年7月29日〜8月2日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:15名(福島の小学生)
ボランティア数:19名(当日述べ人数)
費 用:1,426,840円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ
兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

 

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リーダーになって帰って来た子どもたち - Spring Camp 2016

DSC_08032016年春、第6回目となるパートナーキャンプは「リーダーになってまた余島に帰ってくる」という子どもたちの夢を叶えるキャンプとなった。過去参加者の中から参加者を募ったキャンプには、定員の2倍を超える申し込みがあった。「震災での経験を、これからに活かしていってほしい。体験を共有して、一緒に未来のために生きていく」そう願うユースリーダーが今回も集まり献身的に寄り添う姿は、希望の光となって世に降り注いでいた。キャンプ中それぞれが、様々な体験を通して自己を顧み、体験をお互いの財産とした。みな素晴らしいリーダーシップを発揮して仲間たちとキャンプを楽しんでいた。
キャンプ最後の夜、吹き荒れる春の大雨の音を聞きながら、静寂のメインホールで刻んだ時間。
「1回目のときは、福島だから、被災したから、被災地だからしょうがなく、キャンプをしてくれてるんじゃないか。その気持ちがすごいおっきくて、とても不安だった。でもこのキャンプは、本当に自分たちのために、被災したからではなくて、自分たちのためにやってくれるんだと。本当にそう思って、参加してよかった。<中略>団結とか、勇気とか、そういう言葉が嫌いだった。そんな綺麗な言葉ばかり並べて自分をよく見せようとする人がいっぱいいて。本当はそうじゃないのに。学校ではそんなことばっかりで。リーダーシップは悪い言葉だと思っていた。リーダーシップばっかりとって良くないとクラスで言われた。リーダーシップのとりすぎだ。だから悪い言葉だと思っていた。だから、今回余島でプログラムにリーダーシップって書いてあって、なんで書いてあるんだろう?って。悪いことなのにって。でも、キャンプを過ごして、リーダーシップは悪い言葉じゃないってわかってよかった。・・・がんばれ福島。っていう言葉も嫌いで、家にいるのもいやで、嫌いで、そんなときにキャンプに出会って、余島にこれた。だから本当に感謝しています」–ある中学1年生の言葉。
私たちに大きな衝撃を与えた東日本大震災。その影響は二次的な広がりを見せてきている。「そこに困っている人がいたら自分のできることをしよう」。これまで見送ってきた多くのキャンパーに伝えたその言葉を、今も自分に向かって言い続けている。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)

概 要

第6回 I’m a Partnerスプリングキャンプ2016 LIT&CIT
日 程:2016年3月30日〜4月4日 5泊6日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:20名(福島の小学4年生〜中高生・過去参加者)
ボランティア数:17名(当日述べ人数)
費 用:2,208,151 円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
大阪堂島ロータリークラブ、宮田保史、ロビン・ロイド
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園