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「記憶」と「記録」 私たちは何を引き受け、どう生きるのか?

ここに2011年からのある「記憶」が書き綴られている。
これらの「記憶」は「記録」となって、後世まで残っていく。

「記憶」を直接持っている私にとって、すべての「記録」は、その当時の思い、匂いや汗、涙や息遣いを思い起こさせる。
どれも「言葉」では表すことのできない、大量の何かだ。

もしかするとそれらは「言葉」で残すことはできないのかもしれない。
いや「言葉」で残すべきではないのかもしれない。
新型コロナウィルスがやってきて、それを身をもって確信した。

例えば言葉がなかったら、
「新型コロナウイルス」という言葉がなかったら、
社会の混乱は最小限であったと思う。

ただ人が死ぬ。いつもと違う具合に死ぬ。ただそれだけだ。

しかし「言葉」がなかったら、2011年からのPartnerとの出会いは、
太古から受け継がれてきたさまざまな知恵は、
生活するために必要な情報は、
この複雑になった社会では、うまく手に入らなかっただろう。

人間が言葉を使い始めてから、7万年くらい経つと言われる。
ホモ・サピエンスが進化を始めたのが20万年だから、「言葉」というようなものを使ってやりとりをするようになってからの人生の方が短い。

言葉に頼り切る前は、歌や詩、「言葉にならない言葉」であらゆるものを継承していた。

森や海と一緒に生きていた。
動物や虫と一緒に生きていた。
ヒトとも一緒に生きていた。
体も心も精神も、お互いに浸透しあっていた。だから言葉は少なくていい。

私たちはいつからか、「言葉」に囚われるようになってしまった。

若者は「不要不急の外出」をすることによってのみ、
世界がどうなっているかを把握すべき年頃であるのに、
社会は言葉によってそれを閉ざしてしまった。

人々は「不安を煽るな!」と口にすればするほど、自らを不安に陥れていった。
SNSには「嘆き」と言う名の、「任せたのに文句を言う」輩が溢れかえった。

私たちは自分の人生を引き受けることができる。
引き受けることに積極的になることができる。
受動的であることに能動的になれるのだ。

ジョン・デューイに直接学んだ日本キャンプの父、小林弥太郎は、
希望に満ち溢れた前半生を、Learning By Doingを実践しながら、文字通り奔走した。

過度に能動的だった。

しかし絶望の淵で、精霊から言葉にならない言霊を受け取った小林は、
後半生をBeingの構えで生きた。

ただ教会に通い、徹底的に「待つ(=受動的)」ことに「積極的(=能動的)」だったのだ。

この誰にも理解されなかった小林の後半生に、私たちが「引き受ける」何かがある。

これまで延べ590名の子どもたちが余島を経由して飛び立っていった。

本当に多くの方の支援のもと、たくさんの子どもたちを余島に招待することができた。

そこでは若者が、子どもが、支援者が、試行錯誤しながらキャンプを過ごした。

「記憶」が確実に自分の内部に宿っている人たちは、いつしかまた言葉でその記憶を世に出してくれるかもしれない。

そしてその「記録」に触れ、何かを呼び覚まされた人は、新たな「記憶」を生み出して欲しい。

後から見たときに、それらの「記録」に触れ、そこに息づく「記憶」を感じ、
自分の中にある同じようなものと呼応させることで、継承するものが現れる。

それはもしかしたら、私たちと同じような人間ではないのかもしれない。
それでも「内なる光」は継承され、子々孫々にまで引き継がれる。

多くの死の上に成り立つ私たちの生は、「不在による存在」によって支えられている。

何かを記録し、記憶することは、私たちの勤めなのだ。

キャンプディレクター 阪田晃一

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“人と出会い、神と交わり、愛の火の燃えるところ”

2019年夏キャンプ報告

“たとえば1949年、淡路で青年たちがキャンプのプログラムを持った際、それぞれが戦争中の思い出を語り、大きな歴史的過ちを自らも担ったことの悔悟と、そのゆえに歩まねばならぬ贖罪への道を誓って、キャンプファイヤーが涙の集会となったとき、それを眺めていた地元の青年たちにも深い感銘を与えたというエピソードなどが生まれたのである。
— 今井鎮雄 神戸とYMCA100年 緒言より”

今からちょうど70年前、青年たちはこんな話をしながら涙の火を囲んでいました。余島キャンプの歴史は古く、厳格です。時は明治、「青年に温かい握手を」の合言葉と共に始まった神戸YMCAの歩みが、戦後青年たちの思いと融合し、余島というキャンプ地との巡り合いを経て、現在のキャンプの原型が形作られていったのです。1953年肢体不自由児キャンプは「人間の尊厳とは何か」を社会に問うために始まり、その時に最も弱くされている人間に対して、キャンプを通して手を差し伸べなさいという強いメッセージを、後世にも伝えています。

キャンプは楽しさやおもしろさの裏に、生きることの本質を問う「厳しさ」が潜んでいます。私たちは時として自然の脅威に触れ、自分自身の「生」を実感し、最愛の人との別れを通して「生」の儚さを突きつけられるのです。

暑い夏の余島に、日本各地、世界各国からキャンパーがやってきました。私たちが創り上げてきた、“I’m a Partner”という現代のメッセージは、その想いが求心力を持って広がっています。原発の問題が収束したとは言えない福島からやって来た子どもたちと中高生。福岡から40名のキャンパーとやって来たディレクター。身体ダイバーシティ、発達や心理面でのダイバーシティ、社会的にいろいろな境遇で生きるダイバーシティ。そして北京、上海、南京、台湾からやって来たキャンパーたち。それを応援するたくさんのスタッフ。これまでのすべての接点が新たな接点を生み、それは円を超えて永遠と交わる無限大の記号のように、巡り合いとなって私たちに One Campを作らせました。

私はカウンシルファイヤーの火を囲みながら、こんな話をしました。
「ここにいる私たちはそんなに遠くない昔に、殺し合っていました。争っていました。障害者を差別していました。でも今日のこの日、私たちは共に生き、キャンプを通して、友となったのです。きっと先人たちも、ここに集って喜んでいることでしょう」

“優しいね、優しい” 涙ながらにそう言って、両手をぎゅっと握りしめてくれたのは、北京からきたお父さんでした。その時私は不思議と、現世ではない何かと繋がった気がしたのです。

それはただの儚い夢なのかもしれないが、心の痛みを乗り越え、ゆっくりでも前へ進もうとする人々へ、そしてまったく前に進む元気がない人々へも、「それでいいんだ」というすべてを包み込む余島の優しさが、伝わることを願っている。
今も空で見守ってくれている方々を慕んで。

キャンプディレクター 阪田 晃一

第13回 I’m a Partner Summer 2019
日 程:2019年7月28日〜8月1日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の中高生8名、小学生30名
※福島保養プロジェクト(コープこうべ、ユニセフ、YMCA共催)One Campと同時開催
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人日本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園
株式会社上組

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“わたしは植え、アポロは水を注いだ ”

2019年春キャンプ報告

「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。」

コリント信徒への手紙にはこう書いてある。パウロはイエスと出会い、イエスという偉大な行為を人々に伝えるべく旅に出た。それから永い時間が流れた。私たちにとっては永遠とも思えるようなこの時間も、輪廻転生を繰り返す宇宙という営みの中では瞬く間なのかもしれない。

YMCAはイギリス・ロンドンの地で、1844年に、産業革命という時代の大きな変わり目にいた若者たちによって生まれた。善く生きるための「キリスト生活の実践」は、今もなおYMCAの根底を支えている。しかし「印を欲しがってはならない」と聖書が警告するように、その形やあり方だけを求めるようになると、途端に大切なものを見失ってしまう。

2011年の震災以降、若者はその時と同様に心の拠り所を探していた。何かしたいけれど何をすればいいのか。未曾有の災害に立ち向かう若者たちの前に、YMCAははじめその機能を果たせなかった。やがて若者たちは、自らリーダー会を結成した。キャンプには定員を超える申し込みがいつもあった。「未来の指導者になって欲しい」そう伝えるキャンプの多くで、「リーダーになりたい」その夢を叶えるシステムは機能していなかった。パートナーキャンプは多くの中学生、高校生キャンパーをLIT(Leader in Training)として迎えるキャンプに成長した。

ファンドレイザーは大変多くの寄付を集めた。企業もたくさん協力した。しかし多くの参画を受け留める度量が、YMCAには無かった。
外からの大いなる圧力を受け、埋もれていた「多様性を受容する力」が目を覚ましたのだ。

若者は時より、涙を流していた。理想とかけ離れた現実に夢を砕かれ、心を痛めたのだ。

志半ばで踵を返した仲間も見送った。真実を追い求める道は、決して自分たちにとって都合の良いものではなかった。
「多様性を認め、受容する社会を実現する」

排他的で標準化された社会に生きる若者が、その理不尽さに勇気と自由への憧れを持って立ち向かった結果、キャンプは新たなステージへと進んだ。
「人間の尊厳とはなにかを考えなさい」
今も先人のこの言霊が私たちを真実へを導いてくれる。

撒かれた種のあるものは、種のままその生涯を終える。芽吹くも、志半ばで地に帰るものもいる。しかしまさに神の仕業としか思えない感動的な場面に出会うたび、確かに神はそこにいるのかもしれないと感じるのである。そしてそれはおそらく、一人ひとりの中に存在する良心にも似た、真実の声なのである。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)

春のキャンプご報告
第11回 Iʼm a Partner Spring 2019
日 程:2019年3月31日〜4月4日 4泊5日
於 :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の中高生2名 小学生9名
※福島保養プロジェクト(コープこうべ、ユニセフ、YMCA 共催)と同時開催
ボランティア数:5名(当日述べ人数)
費 用:1,000,000円(よしましよ寄付金) 主 催:神戶YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス(株)、余島キャンプOBOG会、 生活協同組合コープこうべ
兵庫県ユニセフ協会 NPO法人ルワンダの教育を考える会 (株)光陽社、(株)毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ⻄日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟
社会福祉法人神戶YMCA福祉会
学校法人神戶YMCA学園

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“ねえ、1+1ってなんで?”

”食事を終え、キャビンに戻るキャンパーたち”
一緒にいることが当たり前になるとそれが絆になる

人と関わることがあまり好きじゃなかった高校1年生の私が、たった一度のキャンプで、生きることの喜びを知りました。

福島の子どもたちとのキャンプ。

「私ゆうこちゃんのこと絶対忘れないよ!」

スタッフとして何をしていいか分からず、満足に動けなかった私に、ある1人の女の子が言った言葉です。彼女の名前も知らないし、なんでそんなことを言ってくれたのかも分からなかったけど、今でも彼女の顔と声をはっきり覚えています。

本当に嬉しくて「あぁまたキャンプに来たい」と思った瞬間。
あれから7年間、夏は毎年余島にきて、福島のみんなと会いました。
食堂でわれはふくろうを歌う時、ふとした時にグループでマイケルを歌う時、カウンシルファイヤーでメンバーが勇気を出す姿を見る時、その瞬間瞬間が本当に好きで、涙が出るほど幸せで、生きている喜びを感じました。

今年は、フルで参加できる最後のpartner。
そして、みんなでつくってきたOneCamp。
思いが溢れて、OneCampの参加者が余島に着いた時は、ひとりで泣きました。

「1+1=1ってなんで?」

4日目の昼ご飯の時、しおりを見たメンバーから聞かれました。

「りんごとみかんはフルーツって数えたら1つやろ?私とあなたも、同じ人間って考えたら1やろ?」

そういうと、すごく納得した様子。私はみんなを誇りに思いました。
暗くなるとカウンシルファイヤーです。なんて尊い時間なんだろう…そう思いながら、みんなの思いを聞いていました。すると、グループの1人の女の子が立ち上がり、話し始めました。私は彼女の話で、このフレーズが印象強くて忘れられません。

「言葉は通じなくても同じ人間だし、色んな人と関われて楽しかった。」

あぁ、今回のキャンプはいいキャンプだったんだ。彼女が教えてくれました。
「来年LITで来たい!」「また会おうね!」そう言って帰って言ったみんな。今年もまた、生きる喜びをもらいました。

たくさんの福島のメンバーに会いました。
たくさんのpartnerに会いました。

OneCampをするために、たくさんの方々と出会いました。
OneCampで、多様な方達と出会いました。

本当に、本当に、本当に、全てが宝物です。
一緒に過ごすだけで幸せになれる人がいる、もちろんその逆で、一緒にいることが辛い人もいる。

でも、みんな同じ人間です。

もしキャンプが現実社会の縮図なら、キャンプで得たものは現実社会を変える力になる。

私たちはキャンプに、もっと多様な人を集めなければいけません。私たちはもっと、多様な人と関われる人間にならなければなりません。

改善点はたくさんあります。でも、OneCampは最高のスタートをきりました。

これから、第1回OneCamp参加者のみなさんとともに、福島のみんなも一緒に、理想の社会を目指したキャンプを、そして誰もが当たり前に生きられる社会をつくるため、未来に託しながら、生きていきたいと思います。

感謝の気持ちであふれています。
本当にありがとうございました。

ユニットディレクター・カウンセラー
古川 由布子(関西学院大学4回生)


第11回 I’m a Partner Summer 2018
日 程:2018年7月27日〜7月31日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の中高生14名、小学生30名
※福島保養プロジェクト(コープこうべ、ユニセフ、YMCA共催)One Campと同時開催
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人日本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園
株式会社上組

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「協力って、難しいけど」Spring 2018

”キャンプ旗を前に、ハイチーズ!?”

 ある人に出会ったら、どんなことを考えるだろうか。年齢は?出身は?学生だろうか、会社で働いる人だろうか。役職は?大人はそう考える。
 ある人に出会ったら何を感じるだろうか。その出で立ちだろうか。行動だろうか。その人が発する言葉や、醸し出す雰囲気だろうか。子どもたちはそんな感じ方をする。
 キャンプの世界は、「私たちが暮らす日常社会の縮図」であると言われる。今回のキャンプもまさに、良くも悪くも現代日本社会を映し出した。ある男の子は、言葉遣いが悪く、どんな時でも「あ!?」と返事をする子供だった。みんなに怒られた。「その返事はなに!直しなさい!」。同級生にも、リーダーにも怒られた。その男の子はどんな時でも「自分勝手」に見えた。楽しい時は楽しそうに過ごし、どんな友達とも遊び、たまに怒られしょぼんとし、また気分を変えて走り回っていた。
 静寂の火を囲み、最後日の夜を過ごすカウンシルファイヤー。今回はみんなで持ち寄った小さな小さな小枝を集めて、火をつけた。火はゆっくりと一人一人の心の中に入っていった。瞬間に明るくなって、その時はすぐに過ぎ、今度は収束に向けてゆっくりと輝きだした。物事には始まりと終わりがある。そして老いも若いもある。一言に「火」では表せない。
 誰も喋らないカウンシルファイヤー。沈黙という美しい時が流れる。火が老いへと進み始めた時に訪ねた。「ねえ、キャンプどうだった?」彼は答えた。「うーん。みんなで料理する時とか、遊ぶ時に、みんな協力しようとしててよかった。でも協力ってやっぱり、難しい」。そしてある女の子が続いた。「みんなで協力するゲーム?あれ難しかったけど、でもよかった。楽しかった」。
 どうしても私たちはその人の外面を見て過ごす。内面にまで到達しないまま別れを迎えてしまうことがほとんどだ。自分勝手だと見られていた彼は全てを知っていた。そして子どもたちは真実を語っていた。
 帰りの新幹線で、彼は家に帰るため途中駅で降りた。それまで明るかった彼は、その駅が近づくにつれて真剣になっていった。彼はみんなと住所を交換した。そして次のキャンプには来るのかと、みんなに聞いて回った。彼が別れを済ませて、母親が迎えに来ているホームに降りると、まっすぐとこちらを向き、一人一人を一生懸命見ている。その眼差しは、見送る者の心を打った。「ねえ泣いてると思う」。ある年長者の女の子がその姿を見て言った。友情にかたく結ばれたキャンパーたちの別れの時だった。
 さあ、私たちも頑張ろう。キャンプが日常世界を変える力があるのならば、日常世界もまた、キャンプの世界を変えることができるのだ。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)


第10回 I’m a Partner Spring 2018
日 程:2018年3月31日〜4月4日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の中高生2名 小学生9名
※福島保養プロジェクト(コープこうべ、ユニセフ、YMCA共催)と同時開催
ボランティア数:18名(当日述べ人数)
費 用:1,300,000円(寄付金・参加費・協賛金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

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「恩返しがしたいんです」Summer 2017

”Going on a bear hunt! キャンプの出し物で水をかぶって皆を楽しませるキャンパーとリーダー” スタンツナイトでの一コマ

“Going on a bear hunt! Going on a bear hunt! We’re not scare!!(クマを狩りにいこうか!クマを狩りにいこうか!私たちは怖くないよ!)” 元気な掛け声が、キャンプ最終日の夕方、静かな余島にこだましていた。各グループやリーダー達からの出し物で盛り上がり、キャンプを過ごしてきた各々が、一緒に過ごしてきた仲間達を楽しませるためのスタンツナイトは、この日も大盛りあがりだった。「クマ狩り」の出し物は、探検隊がクマを狩りに行く珍道中を演じるものだ。泥を顔に塗ったり、水をかぶったりする体当たりの演技で、いつもはリーダーによる出し物だった。この日スタンツナイトの大トリを飾ったのは、初日にリーダー達のクマ狩りを見て、それを自分たちでアレンジした女の子グループだった。会場は湧いた。大いに湧いた。笑顔が弾け、そこにいることが幸せだと誰もが感じた瞬間だった。
 第9回目を迎えたパートナーキャンプは、これまでのキャンプに参加した福島の中高生が、指導者として参加してくれたおかげで、さらに素晴らしいものになった。彼ら彼女らの意気込みは、大人がたじろいてしまうほどだった。私たちも真剣にその挑戦を受けた。「小学生の時のキャンプが本当に楽しかった。みんながしてくれたように、リーダーになって恩返ししたい」誰もが口を揃えてそう言った。
 今回30名の子どもたちと14名の中高生リーダーが福島から参加した。キャンプ参加後のアンケートに、これまでにない項目を追加した。
「あなたは将来リーダーとなってキャンプに参加したいですか?」
その問いに全員が「はい」と答えた。「LIT(Leader in Training)で参加してくれたお兄さん、お姉さんに憧れて、次はリーダーで行くと今から張り切っています」そうメッセージを寄せてくれる保護者もいた。思いや願いが形なっていくサイクルが生まれたのだ。そして神戸から参加した中高生、大学生リーダーもまた、大きな仕事をやり遂げた。これまでの「キャンパーを導く」という役割から、「キャンパーを導くリーダーの候補生たちを導く」まさに「パートナー」という役割をキャンプの中に見出しのだ。共に悩み、指導者とは何であるかを考え、実践する姿は私に次のビジョンを示した。
「あなたは将来、キャンプで経験したことを生かして、どんな人間に成長していきたいですか?」
きっとみんな、驚くほど勇敢な答えを内に秘めているに違いない。今はまだ夢のようなこの問いが、近い将来現実のものとなって、懐かしい面影を残した精悍な顔つきでまた、キャンプに現れてくれることを楽しみにしている。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)


第9回 I’m a Partner Summer 2017
日 程:2017年7月29日〜8月2日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の中高生14名、小学生30名
※福島保養プロジェクト(コープこうべ、ユニセフ、YMCA共催)と同時開催
ボランティア数:23名(当日述べ人数)
費 用:1,356,000円(寄付金・参加費・協賛金)
    内よしましよ800,000円
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

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If camp is .. もしキャンプが… Spring 2017

”こころが笑う” 2017年3月早春の余島にて

“If camp is indeed a microcosm of the real world, then the skills learned will carry over to that world.”
「もしキャンプが本当にリアルな世界の縮図なら、キャンプで得たものは現実の世界へと引き継がれるだろう」
 私たちキャンプの指導者にとって、この言葉はとても大きな意味を持つ。私たちが参加者と創り出すキャンプの世界は、良いも悪いも現実の世界から引き起こされ、現実の世界へと戻って行く。余島の浜に寄せては返す波のように。ただ一つだけ自然界と違うところは、私たちは意図的に何かをすることができる。
ちょうど遠くの海からやってきた波に精霊船を浮かべて、祖先を迎え送り出すように。
 第8回目となるパートナーキャンプには、福島に加え、熊本からも子どもたちがやって来た。「私たちはパートナー」その想いが、これまでの枠を簡単に飛び越え、新たな絆を生んだ。「結構揺れたよね。その時どうしてた?」自然とそんな会話が生まれ、東北と九州、まったく違う気質の子どもたちはキャンプを通して、少しずつ、でも確実に心を通わせていく。
 驚くほど勇敢なキャンプカウンセラーは、今回も多くの仕事を成し遂げた。私たちは我慢した。
「いいかい。今回は参加者の力を最大限に引き出すと決めた。だから、とにかく見守ることに徹してみよう。もし仲間割れを起こしているなら、そしてそれが深刻な仲間割れなら、それはおそらく今、子どもたちが現実の世界で抱えている課題なんだろう。だから、それを取り除いてしまうのではなく、一緒に、自分たちの力で解決していこうとする力を、なんとか引き出せないだろうか」 
 キャンプ三日目の朝、キャンパーたちにその日の活動が告げられた。「今日は自分たちの力で、小豆島に渡って、画家の宮田先生の家を訪ねて欲しい。そこで、故郷の両親に絵葉書を書こう」。余島から飛び出し、自分たちの力だけでバスを乗り継いで目的地を目指す。距離にしてたった20km。車に乗ればすぐの目的地は、遠かった。バスに乗り遅れ、道を間違えた。争いも起こった。それでもカウンセラーは我慢した。何も言わずに寄り添い続けた。結果として、満足に宮田先生のアトリエを訪ねることはできなかった。絵葉書も急いで書いた。でもその絵葉書を描く子どもたちは、なんとなく逞しく見えた。
 「あの子が、あの場面で自分から謝るなんて。そんな光景は今まで見たことがなかったんです」。熊本から子どもたちを連れて来てくれたディレクターが、そう教えてくれた。地図を逆さまに読み間違え、全く逆の方向にグループのみんなを導いてしまった男の子は、素直にこう言った。
「ごめんね。僕が地図を間違えちゃったから」
 間違えてもやり直したらいい。私たちには未来がある。キャンプではなんでも試したらいい。それだけの包容力がある。いつかこの夢のようなキャンプの世界が現実のものとなるように。
私たちは今日も現実に向き合っている。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)


第8回 I’m a Partner Spring ショートステイ2017
日 程:2017年3月31日〜4月2日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の小学生8名・中学生2名、
    阿蘇の小学生5名
ボランティア数:8名(当日述べ人数)
費 用:1,000,000円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

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ひとりの子どもとキャンプの世界- Summer Camp 2016

DSC_04192016年夏、第7回目となるパートナーキャンプが開催され、暑い暑い夏の余島に福島の子どもたちがやってきた。「保養慣れ」している子どもたちがいると言われる一方、福島駅に迎えにいくと「今回が初めての保養キャンプです」というお母さんや、兄や姉がお世話なりましたというパートナーキャンプ2世に、早くも出会うことになった。
4年目となるパートナーキャンプは成熟期を迎えている。強力なリーダーシップを発揮し、その若々しさと初々しさで子どもたちの心を癒し、共に成長してきた高校生リーダー。その高校生リーダーを鼓舞し、励まし、自身も度重なる大きなプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、最後は子どもたちに感動を与え、涙の別れを演出する大学生リーダー。そして、人は変われど「福島から余島にやって来た子どもたち」という大きな強い絆で結ばれた子どもたち。みな余島という「キャンプの世界」に着くなり変容し、様々なアクティビティや出会いを通して、帰る頃には立派な「世の指導者」へと変化を遂げる。そこに、経験が醸し出す絶対的な安心感と知恵、冷静さに貫かれた情熱でキャンパーもリーダーも支える支援者が加わり、こうしてパートナーキャンプは本当に「パートナー」を生むキャンプへと成熟を遂げたのである。
7回目のキャンプは、相変わらず素晴らしいものだった。いつにも増して素晴らしかったのは、そこに参加者全員で創り上げた「キャンプの世界」があったからだった。そのきっかけを作ったのは「ひとりの子ども」だった。今回のキャンプには発達障がいの子どもも何人か参加していた。2日目の朝、キャンプの始まりを告げるメッセージを話していたところに、一人の男の子が前の方へフラフラと歩いて来た。私は気にせずに彼を脇に抱えて、頭を撫でながら話を続けた。驚いたことに、それを見つめるカウンセラーは微笑んでいた。そして話を聞いている子どもたちもどこか楽しそうに、ニコニコしながら話に入り込んでいた。私は彼を引き戻そうとせず、微笑んでいるカウンセラーを誇りに思った。同時に、何事もなかったかのようにニコニコと話を聞いている子どもたち、そしてその「キャンプの世界」に感動したのであった。
「私たちはパートナーです」そう宣言して始めたキャンプ。その開始当初を知る人間はほとんどいない。そこにいたのは、その引き継がれた想いが形になったキャンプに参加している新しいリーダーと子どもたちだった。それでも意志は続いていく。「ひとりの子どもとキャンプの世界」が醸し出したその朝の光景は、いつまでも美しく私の心の中に残っている。それはきっと、今も福島で暮らす子どもたちと、ボランティアリーダーや支援者の内で、喜びとなって溢れているのを信じて疑わない。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)

概 要

第7回 I’m a Partnerサマーキャンプ2016
日 程:2016年7月29日〜8月2日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:15名(福島の小学生)
ボランティア数:19名(当日述べ人数)
費 用:1,426,840円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ
兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

 

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リーダーになって帰って来た子どもたち - Spring Camp 2016

DSC_08032016年春、第6回目となるパートナーキャンプは「リーダーになってまた余島に帰ってくる」という子どもたちの夢を叶えるキャンプとなった。過去参加者の中から参加者を募ったキャンプには、定員の2倍を超える申し込みがあった。「震災での経験を、これからに活かしていってほしい。体験を共有して、一緒に未来のために生きていく」そう願うユースリーダーが今回も集まり献身的に寄り添う姿は、希望の光となって世に降り注いでいた。キャンプ中それぞれが、様々な体験を通して自己を顧み、体験をお互いの財産とした。みな素晴らしいリーダーシップを発揮して仲間たちとキャンプを楽しんでいた。
キャンプ最後の夜、吹き荒れる春の大雨の音を聞きながら、静寂のメインホールで刻んだ時間。
「1回目のときは、福島だから、被災したから、被災地だからしょうがなく、キャンプをしてくれてるんじゃないか。その気持ちがすごいおっきくて、とても不安だった。でもこのキャンプは、本当に自分たちのために、被災したからではなくて、自分たちのためにやってくれるんだと。本当にそう思って、参加してよかった。<中略>団結とか、勇気とか、そういう言葉が嫌いだった。そんな綺麗な言葉ばかり並べて自分をよく見せようとする人がいっぱいいて。本当はそうじゃないのに。学校ではそんなことばっかりで。リーダーシップは悪い言葉だと思っていた。リーダーシップばっかりとって良くないとクラスで言われた。リーダーシップのとりすぎだ。だから悪い言葉だと思っていた。だから、今回余島でプログラムにリーダーシップって書いてあって、なんで書いてあるんだろう?って。悪いことなのにって。でも、キャンプを過ごして、リーダーシップは悪い言葉じゃないってわかってよかった。・・・がんばれ福島。っていう言葉も嫌いで、家にいるのもいやで、嫌いで、そんなときにキャンプに出会って、余島にこれた。だから本当に感謝しています」–ある中学1年生の言葉。
私たちに大きな衝撃を与えた東日本大震災。その影響は二次的な広がりを見せてきている。「そこに困っている人がいたら自分のできることをしよう」。これまで見送ってきた多くのキャンパーに伝えたその言葉を、今も自分に向かって言い続けている。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)

概 要

第6回 I’m a Partnerスプリングキャンプ2016 LIT&CIT
日 程:2016年3月30日〜4月4日 5泊6日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:20名(福島の小学4年生〜中高生・過去参加者)
ボランティア数:17名(当日述べ人数)
費 用:2,208,151 円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
大阪堂島ロータリークラブ、宮田保史、ロビン・ロイド
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

Article

福島から来た子どもたち - Summer 2015

kids_from_fukushima_summer2015続・福島から来た子どもたち

震災から4年が経ち、子どもたちの様子も変化を見せてきました。震災直後のショックや悲しみから、今度は長期的に続く原発の影響下での生活自体が大きなストレスとなって、子どもたちに、そして子どもを取り巻く家族と社会に重くのしかかっているようでした。私たちはキャンプを迎えるにあたって、多くの時間を費やしました。それはキャンプで何をして遊ぶのか、時間割はどうしようかといったことだけでなく、「キャンプにおいて、一人ひとりが負うべき『責任』とはなにか?」という命題に向かって、ディスカッションによって真実に近づこうと準備を進めました。主に高校生、大学生から構成される若い世代のキャンプリーダーにとって「議論を交わす」ことはとても難しいことでした。しかし私たちは諦めませんでした。何とか子どもたちに希望を与えたい。「僕は保養慣れしてるから、感動しないんだ」春にある子どもから聞いた、そんな言葉はキャンプで聞きたくない。そう心に誓って、ディスカッションを重ねました。
キャンプ当日、キャンプカウンセラーの顔には笑みが浮かんでいました。「これから始まる『キャンプ』という一つの『世界』に、一体どんなことが待っているのだろう」その顔は希望に満ちていました。こうして、福島からやってきた63名の子どもたち、若いキャンプカウンセラーとリーダーたちは、暑い暑い夏の余島でキャンプの世界に入っていきました。大変多くのボランティアスタッフに囲まれ、多くの出会いを喜び、はじけるように遊んでいました。
「リーダー。スタッフになって、また余島に帰ってきてもいい?」
キャンプから帰る前の日、いつもよりゆっくりとした朝がやってきて、まだ起きて間もない自然の中で、インフォメーションセンターの前を掃き掃除していると、子どもたちがやってきて言いました。
「今度はリーダーになってキャンプに参加したいんだ」そう思って余島から巣立っていった子どもたち。しかし、子どもたちは現実を冷静に見つめています。多くの支援者の寄付や努力によって参加できる、もしかしたら一生に一回のキャンプ。その意味をかみしめ、帰って行きました。
このキャンプに携わった全ての人々に感謝を申し上げます。福島からやってきた63名の子どもたちのためにデザインされた至宝のキャンプは、これからも子どもたちの心の中で輝き続けます。そして感動は人の心を動かし、大きなうねりとなって、新たな世界を生み出していくことでしょう。

キャンプディレクター 阪田 晃一(神戸YMCA)

概 要

第5回 I’m a Partner サマーキャンプ2015
日 程:2015年7月26日〜7月30日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:30名(福島の小学4年生〜6年生)
ボランティア数:75名(当日述べ人数)
費 用:3,176,842円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会生活協同組合コープこうべ
兵庫県ユニセフ協会、NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
(公財)日本YMCA同盟、社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

<同時開催>福島の子ども保養プロジェクトinよしま
主 催:コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会、神戸YMCA

キャンプという出会いが生んだもの
子どもたちの手紙

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2年前にキャンプに参加した男の子の弟が参加していました。彼はキャンプが始まって3日経ってから私のところにやってきて、このことを教えてくれました。「だから僕は、お兄ちゃんからキャンプの歌を教わってきたんだ。『われはふくろう』家で毎日歌っているよ」キャンプが終わっても変わらない「喜び」は、子どもたちの心の中で生き続け、そして今また新たな出会いを生んだのです。
最終日の朝、朝ごはんを楽しんでいると、ある女の子が私に手紙をくれました。

“私たちがどれだけ愛されているかわかりました”

みんながキャンプから帰ってその手紙を開けると、この言葉がありました。きっと彼女はこのキャンプで、誰に会っても、誰と遊んでも、その背後に流れている強い愛情を感じていたのだと思います。
キャンプからの帰り道、港から出て新幹線に向かうバスの中で、こんなことがあったそうです。「キャンプでよく歌った歌なのか、どこからともなく歌が始まった。でもその時、ある男の子がこう言った。「歌はやめようよ。また悲しくなってしまうから。」そう言って、今度は皆でわんわん泣きながら、キャンプでの思い出に浸っていたよ。本当に静かで、『しくしく』という音だけが響いていた。本当にいいキャンプだとわかったんだ。私も心から感動したよ。」福島まで子どもたちを連れて帰るボランティアスタッフが教えてくれた、キャンプを象徴するストーリです。