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「恩返しがしたいんです」Summer 2017

”Going on a bear hunt! キャンプの出し物で水をかぶって皆を楽しませるキャンパーとリーダー” スタンツナイトでの一コマ

“Going on a bear hunt! Going on a bear hunt! We’re not scare!!(クマを狩りにいこうか!クマを狩りにいこうか!私たちは怖くないよ!)” 

 元気な掛け声が、キャンプ最終日の夕方、静かな余島にこだましていた。各グループやリーダー達からの出し物で盛り上がり、キャンプを過ごしてきた各々が、一緒に過ごしてきた仲間達を楽しませるためのスタンツナイトは、この日も大盛りあがりだった。「クマ狩り」の出し物は、探検隊がクマを狩りに行く珍道中を演じるものだ。泥を顔に塗ったり、水をかぶったりする体当たりの演技で、いつもはリーダーによる出し物だった。この日スタンツナイトの大トリを飾ったのは、初日にリーダー達のクマ狩りを見て、それを自分たちでアレンジした女の子グループだった。会場は湧いた。大いに湧いた。笑顔が弾け、そこにいることが幸せだと誰もが感じた瞬間だった。
 第9回目を迎えたパートナーキャンプは、これまでのキャンプに参加した福島の中高生が、指導者として参加してくれたおかげで、さらに素晴らしいものになった。彼ら彼女らの意気込みは、大人がたじろいてしまうほどだった。私たちも真剣にその挑戦を受けた。「小学生の時のキャンプが本当に楽しかった。みんながしてくれたように、リーダーになって恩返ししたい」誰もが口を揃えてそう言った。
 今回30名の子どもたちと14名の中高生リーダーが福島から参加した。キャンプ参加後のアンケートに、これまでにない項目を追加した。
「あなたは将来リーダーとなってキャンプに参加したいですか?」
その問いに全員が「はい」と答えた。「LIT(Leader in Training)で参加してくれたお兄さん、お姉さんに憧れて、次はリーダーで行くと今から張り切っています」そうメッセージを寄せてくれる保護者もいた。思いや願いが形なっていくサイクルが生まれたのだ。そして神戸から参加した中高生、大学生リーダーもまた、大きな仕事をやり遂げた。これまでの「キャンパーを導く」という役割から、「キャンパーを導くリーダーの候補生たちを導く」まさに「パートナー」という役割をキャンプの中に見出しのだ。共に悩み、指導者とは何であるかを考え、実践する姿は私に次のビジョンを示した。
「あなたは将来、キャンプで経験したことを生かして、どんな人間に成長していきたいですか?」
 きっとみんな、驚くほど勇敢な答えを内に秘めているに違いない。今はまだ夢のようなこの問いが、近い将来現実のものとなって、懐かしい面影を残した精悍な顔つきでまた、キャンプに現れてくれることを楽しみにしている。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)


第9回 I’m a Partner Summer 2017
日 程:2017年7月29日〜8月2日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の中高生14名、小学生30名
※福島保養プロジェクト(コープこうべ、ユニセフ、YMCA共催)と同時開催
ボランティア数:23名(当日述べ人数)
費 用:1,356,000円(寄付金・参加費・協賛金)
    内よしましよ800,000円
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園

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If camp is .. もしキャンプが… Spring 2017

”こころが笑う” 2017年3月早春の余島にて

“If camp is indeed a microcosm of the real world, then the skills learned will carry over to that world.”
「もしキャンプが本当にリアルな世界の縮図なら、キャンプで得たものは現実の世界へと引き継がれるだろう」

 私たちキャンプの指導者にとって、この言葉はとても大きな意味を持つ。私たちが参加者と創り出すキャンプの世界は、良いも悪いも現実の世界から引き起こされ、現実の世界へと戻って行く。余島の浜に寄せては返す波のように。ただ一つだけ自然界と違うところは、私たちは意図的に何かをすることができる。
 ちょうど遠くの海からやってきた波に精霊船を浮かべて、祖先を迎え送り出すように。
 第8回目となるパートナーキャンプには、福島に加え、熊本からも子どもたちがやって来た。「私たちはパートナー」その想いが、これまでの枠を簡単に飛び越え、新たな絆を生んだ。「結構揺れたよね。その時どうしてた?」自然とそんな会話が生まれ、東北と九州、まったく違う気質の子どもたちはキャンプを通して、少しずつ、でも確実に心を通わせていく。
 驚くほど勇敢なキャンプカウンセラーは、今回も多くの仕事を成し遂げた。私たちは我慢した。
「いいかい。今回は参加者の力を最大限に引き出すと決めた。だから、とにかく見守ることに徹してみよう。もし仲間割れを起こしているなら、そしてそれが深刻な仲間割れなら、それはおそらく今、子どもたちが現実の世界で抱えている課題なんだろう。だから、それを取り除いてしまうのではなく、一緒に、自分たちの力で解決していこうとする力を、なんとか引き出せないだろうか」 
 キャンプ三日目の朝、キャンパーたちにその日の活動が告げられた。「今日は自分たちの力で、小豆島に渡って、画家の宮田先生の家を訪ねて欲しい。そこで、故郷の両親に絵葉書を書こう」。余島から飛び出し、自分たちの力だけでバスを乗り継いで目的地を目指す。距離にしてたった20km。車に乗ればすぐの目的地は、遠かった。バスに乗り遅れ、道を間違えた。争いも起こった。それでもカウンセラーは我慢した。何も言わずに寄り添い続けた。結果として、満足に宮田先生のアトリエを訪ねることはできなかった。絵葉書も急いで書いた。でもその絵葉書を描く子どもたちは、なんとなく逞しく見えた。
 「あの子が、あの場面で自分から謝るなんて。そんな光景は今まで見たことがなかったんです」。熊本から子どもたちを連れて来てくれたディレクターが、そう教えてくれた。地図を逆さまに読み間違え、全く逆の方向にグループのみんなを導いてしまった男の子は、素直にこう言った。
「ごめんね。僕が地図を間違えちゃったから」
 間違えてもやり直したらいい。私たちには未来がある。キャンプではなんでも試したらいい。それだけの包容力がある。いつかこの夢のようなキャンプの世界が現実のものとなるように。
 私たちは今日も現実に向き合っている。

キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)


第8回 I’m a Partner Spring ショートステイ2017
日 程:2017年3月31日〜4月2日 4泊5日
於  :YMCA余島野外活動センター
招待数:福島の小学生8名・中学生2名、
    阿蘇の小学生5名
ボランティア数:8名(当日述べ人数)
費 用:1,000,000円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ、兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園