2016年夏、第7回目となるパートナーキャンプが開催され、暑い暑い夏の余島に福島の子どもたちがやってきた。「保養慣れ」している子どもたちがいると言われる一方、福島駅に迎えにいくと「今回が初めての保養キャンプです」というお母さんや、兄や姉がお世話なりましたというパートナーキャンプ2世に、早くも出会うことになった。
4年目となるパートナーキャンプは成熟期を迎えている。強力なリーダーシップを発揮し、その若々しさと初々しさで子どもたちの心を癒し、共に成長してきた高校生リーダー。その高校生リーダーを鼓舞し、励まし、自身も度重なる大きなプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、最後は子どもたちに感動を与え、涙の別れを演出する大学生リーダー。そして、人は変われど「福島から余島にやって来た子どもたち」という大きな強い絆で結ばれた子どもたち。みな余島という「キャンプの世界」に着くなり変容し、様々なアクティビティや出会いを通して、帰る頃には立派な「世の指導者」へと変化を遂げる。そこに、経験が醸し出す絶対的な安心感と知恵、冷静さに貫かれた情熱でキャンパーもリーダーも支える支援者が加わり、こうしてパートナーキャンプは本当に「パートナー」を生むキャンプへと成熟を遂げたのである。
7回目のキャンプは、相変わらず素晴らしいものだった。いつにも増して素晴らしかったのは、そこに参加者全員で創り上げた「キャンプの世界」があったからだった。そのきっかけを作ったのは「ひとりの子ども」だった。今回のキャンプには発達障がいの子どもも何人か参加していた。2日目の朝、キャンプの始まりを告げるメッセージを話していたところに、一人の男の子が前の方へフラフラと歩いて来た。私は気にせずに彼を脇に抱えて、頭を撫でながら話を続けた。驚いたことに、それを見つめるカウンセラーは微笑んでいた。そして話を聞いている子どもたちもどこか楽しそうに、ニコニコしながら話に入り込んでいた。私は彼を引き戻そうとせず、微笑んでいるカウンセラーを誇りに思った。同時に、何事もなかったかのようにニコニコと話を聞いている子どもたち、そしてその「キャンプの世界」に感動したのであった。
「私たちはパートナーです」そう宣言して始めたキャンプ。その開始当初を知る人間はほとんどいない。そこにいたのは、その引き継がれた想いが形になったキャンプに参加している新しいリーダーと子どもたちだった。それでも意志は続いていく。「ひとりの子どもとキャンプの世界」が醸し出したその朝の光景は、いつまでも美しく私の心の中に残っている。それはきっと、今も福島で暮らす子どもたちと、ボランティアリーダーや支援者の内で、喜びとなって溢れているのを信じて疑わない。
キャンプディレクター 阪田晃一(神戸YMCA)
概 要
第7回 I’m a Partnerサマーキャンプ2016
日 程:2016年7月29日〜8月2日 4泊5日
於 :YMCA余島野外活動センター
招待数:15名(福島の小学生)
ボランティア数:19名(当日述べ人数)
費 用:1,426,840円(寄付金)
主 催:神戸YMCA
協 力:パートナーお一人おひとりの皆さま
Ladies & Gentlemenよしましよ、学校法人啓明学院
サントリーホールディングス㈱、余島キャンプOBOG会、生活協同組合コープこうべ
兵庫県ユニセフ協会
NPO法人ルワンダの教育を考える会
㈱光陽社、㈱毛利マーク、non-standard world, Inc.
ワイズメンズクラブ西日本区六甲部
公益財団法人本YMCA同盟、
社会福祉法人神戸YMCA福祉会、学校法人神戸YMCA学園