キャンプで良く歌われる「漕げよマイケル」は、このキャンプのテーマ曲になりました。新たな旅に出るマイケルを、”Hallelujah!“と祝福するこの歌は、子どもたちに何かを伝えているのかもしれません。
キャンプ2日目の夕方、私はこんな話をしました。「みんなの一番大切な人が『困っている』とすると、その人はどんな人なのだろう?」
「弱い人……?」「そうだね。それは弱い立場に置かれている人だと思う。では、その人は、自分で選んで困っていると思う?」「ううん。そんなことは無い。きっと何か事情があって……。」「そうだね。だから私たちは、人には優しくしなければいけないんだよ。自分もいつそうなるか分からない。そして、みんなは、今、『困っている』人たちだと思う。このキャンプには、ここにいるリーダー以外に、弱い立場にいる人を助けたい、と思う人がたくさん関わっている。それがボランティアなんだ。自分ができることを、困っている、弱い立場の人たちのためにすること。みんなが大好きなリーダーも、そういうボランティアとして生きる人たちなんだよ。」
食い入るように真剣に、子どもたちは聞き入っていました。夏の蝉時雨の中、落ちる夕陽に哀愁の表情を浮かべながら過ごした、穏やかな、そして真実の一時でした。最後の夜、カウンシルファイヤーのかがり火の中で、子どもたちがキャンプの想いを語りました。終わりに、最後のメッセージを伝えました。「みんなには強い、優しい人間になって欲しい。今度はリーダーになって、余島に帰ってきて欲しい。私たちは何も恐れない。この両手で、共に未来を創っていこう。」
今回、キャンプに集った仲間は、メンバー40名とボランティアリーダー10名、ディレクター2名でした。しかし子どもたちは、もっと多くのパートナーに出会いました。キャンプカウンセラーはもとより、150名を超える賛同者の寄附や、企業の協力により、本キャンプを開催することができました。その想いは、確実に福島の子どもたちに伝わっています。泣きながら「帰りたくない」と最後の夜を過ごす子どもたちは、このキャンプで、目には見えない、本当に多くのパートナーと出会ったことでしょう。いつの日か再会できることを夢見て、共に未来に向かって、強く生きてゆきたいと思います。
Program Director 阪田 晃一